上天草市地域おこし協力隊 ~北海道から移住してみた~

地域おこし協力隊活動と上天草の魅力を発信します

眠る資源と探る未来 ~空き家対策セミナー~

2022.1.27(木)
昨日(26日)、大矢野庁舎の書庫棟で行われた「空き家対策セミナー」を見学して来たところ、やっと写真編集を終えましたので、日は変わりましたがその概要をお伝えいたします。

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数日前、市のホームページに本セミナーの開催の告知を見つけまして、企画政策課のI野氏にすぐに取材の申し込みをメールしましたところ、これまたすぐに快諾の返信をいただきまして、2020年末に行われた「ドローンによる物流実証実験」(※1)以来お世話になってばかりですが、今回もまちの課題への取り組みの場に臨むことができまして感謝感謝であります。

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この日の講師は、一般社団法人古民家再生協会熊本の代表理事と一般社団法人住教育推進機構の九州地区長のおふたり、テーマは「いまから知っておきたい家の終活~実家を空き家にしないために~」についてです。

講演に先立ち、企画政策課の課長さんから「上天草市には空き家が約1,500戸」というお話しがありましたが、以前、I野氏と移住アドバイザーの方々から「空き家バンクへの登録推進」について伺った際にも「空き家はあるけど、活用に至っていないものが多くある」ということでしたので、空き家の活用が移住の入り口になってまちの活力が向上してゆけば願ったり叶ったりですね🏠

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一般社団法人古民家再生協会熊本の代表理事さんからは、「受講者のうち、当該市外からの参加者が多かった」と某市でのセミナーの例を挙げ、「空き家の持ち主がそのまちに住んでいない」という現状が多く、これが空き家の放置に繋がっている原因のひとつ、という分析がありました。
また、今から80年後の人口は・・・なんと、6,000万人程度になるという試算があるそうで、2100年ころには現在(1億2,544万人)の1/2にまで減少してるかも、だそうです💦
まぁ“80年後”なんてピンと来ませんケド、“20年後”はどうですか?
な、なんと、20年後の2040年には「自治体の半数が消滅!」というショッキングなデータがあり、さらに、青森市や秋田市などの県庁所在地まで消滅の対象に挙がっていたことからも事の重大さが明らかではないでしょうか。

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さて、暗い話しばかりしても仕方ありませんので、明るい話題も。
この日のセミナーに先立って「全国空き家アドバイザー協議会熊本県上天草支部」が設立されたそうですが、左側の写真をよく見ますと・・・地域おこし協力隊の★野さんとOBのT氏の姿がっ😲
維和島で活動中の★野さんは支部の初代会長に、協力隊OBとなった後も湯島で事業を継続中のT氏は副会長に就任されたそうで、バイタリティ溢れるお二人が基幹となって「島だからできること」から空き家の活用や再利用のモデルづくりが始まることに大いに期待するところであります。

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続いて登壇されましたのは、一般社団法人住教育推進機構の九州地区長さん。
「空き家のコト」、「終活のコト」、「まちのコト」の三つをテーマに講話がありました。
ひとつめの「空き家のコト」については、空き家が放置されていると荒廃が進み、それは単に空き家だけでなく周囲の資産価値の低下にも繋がる、ということでしたが、なるほど草木が伸び放題の庭の中にボロっとした家屋があればその隣にあるピカピカの家の魅力は半減どころじゃありませんものね。
また、空き家になる原因は「相続」がほとんどらしいのですが、その9割は「活用」を考えているものの7割は「放置」だそうで、「手放すのはなぁ・・・。ばってん、どぎゃんすっとよかろうかねぇ・・・」と思案している間に荒廃が進みその試案が長引き放置状態が続く、というスパイラルになっているようです。
そして、相続を放棄しても空き家の管理責任は免れないこと、家の所有者が認知症などになってしまうと「どうにかしたい」と思っても円滑に手続きを進められなくなることから、普段から話し合いを持つべき、とも仰っていました。

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ふたつめのテーマ「終活のコト」では、“エンディングノート”(※2)は単に自分の人生の終末について記したノートではなく“つなぐためのリレーノート”であるという思いを述べられ、「“終活”をするのは、“豊かな人生を生きるため”」であるとも仰られましたが、印象的だったのは「ひとの一生=半生+後生」というもの。
生きているのは“半生”で、死んだあとにも人生がありそれを“後生”といい、“ひとが思い出してくれている間は生きている”という考え方だそうですが、なるほど存命であれば今までの生きて来た道を振り返り、亡くなった方であればその生涯について「半生を振り返りますと・・・」と言ったりしますし、また、記憶の中からも消えてしまえばそれこそもうどこにも存在しない、ということなんですね。

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最後のテーマ「まちのコト」では、講師の地元である太宰府市との取組み「空き家サミット」の紹介があり、“自治体”という大きなものではく、実際に身近に空き家を抱える“自治会”への働きかけから「空き家をつくらないでいいようなまちづくり」を目指す一例が示されました。

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質疑応答では、阿村区長会の会長さんが「空き家問題は“自分事”として捉えなければならない年齢になったこともあり受講したが、“空き家をつくらない”ことは地域で取組む必要があることを認識し有意義な講義だった。」と述べられたことに、講師からは何処へでも飛んで行きますよ💨と回答がありましたけれど、地域や暮らしなどそれぞれの特性に応じたアドバイスによって課題を抱えるひとに光が射せば、近隣にもその明るさが及び延いてはまち全体が住みよいものになるのでしょうから、まずは身近なところから取り組むのは大切なことですね。
また、「決められない」というのが空き家放置の最大の原因、と言うとおり、家族で「家の未来をどうするのか」について度々話す機会を設けることも重要であると痛感し、私にとっても意義深い時間になりました。

今回のセミナーの続編は、「空き家を活用したまちづくりセミナー」と題して2月19日(土)1330から大矢野総合体育館会議室で開催されるそうですので、ご興味をお持ちの向きは是非足を運んでみては如何でしょう。

※1:「ドローンによる物流実証実験」ってナーニ?という方は、以下のリンクからご覧ください。

※2:エンディングノートに関しては、上天草市では地域包括支援センターで「わたしのノート」というものを配布しております。出前講座「人生会議とわたしのノート」を取材した記事に興味がある方は、以下のリンクからご覧ください。

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